「波佐見焼」の産地として、日本全国に知られている長崎県東彼杵郡波佐見町。
これまで町と波佐見焼についてお伝えしてきた。今回、波佐見町が今まさに取り組んでいる町づくりについて西海陶器株式会社 常務取締役 小林喜輝氏に話を伺うことができた。本記事では、未来の波佐見町をテーマに取り上げる。
【波佐見②】助け合いながら受け継がれるモノづくり
※本記事は西海陶器株式会社のご協力のもとスポンサー記事としてJapanMade編集部が作成しています
立ち寄る町から留まる町へ
佐賀や福岡からも近く、桜陶祭や、陶器まつり、秋陶めぐりなど様々なイベントがあり、陶器まつりでは約30万人が訪れる。しかし、これまでは町に立ち寄って波佐見焼を購入したり、工房を見学することは出来ても、一日滞在するために楽しむための場が、あまりないことが課題だった。
小林氏は「波佐見町で、丸一日を過ごすためには、泊まる場所・食べる場所・楽しむ場所が最低でも3つ必要」と考え、数年前から、そのための町づくりに携わってきた。その結果、完成したのが、現在の西の原・中尾山の「文化の陶 四季舎」・ホテル Bliss Villa 波佐見・はさみ温泉「湯治楼」といった施設である。
ヒトとモノとマチのつながりを体感する
西の原や「文化の陶 四季舎」は製陶所跡を活用してつくられている。西の原については、第一弾の記事で、様々な楽しみ方ができることをご紹介した。「文化の陶 四季舎」は以前、小林氏の親族が運営していた廃業した、中尾山でも古参の製陶所を再利用したものだ。現在ではピザ窯に生まれ変わった窯で焼いたピザや、波佐見の地元の食材を活かした料理を提供している。
波佐見町は海に面していないので刺し身を出すのも違うと思うし、畜産をしている訳でもないので肉をメインにするのも違和感がある。だからここで暮らす人が普段から食べている料理をメインにしているんです。
地元の人に慣れ親しんだ料理が並べられた波佐見御膳(要事前予約)は、色鮮やかな食材に彩られ、この地ならではの、野菜中心で体に優しい味を堪能することができる。
また源泉掛け流しで、とろみのある泉質が特徴の美肌に効くと好評なはさみ温泉「湯治楼」は、ホテル Bliss Villa 波佐見から徒歩1分にあり、散策の疲れを癒やすことができる。ホテル Bliss Villa 波佐見には、ユニークなことに茶室が備え付けられ、訪れた人に無料で波佐見の器を使って、お茶を立てるサービスが提供されている。ホテルや温泉に併設されているレストランでも、波佐見の食材を活かした料理が満喫でき、至るところで波佐見焼が用いられている。
波佐見町の取材時、たまたま撮影中に通りかかった方が、立派な柿を分けてくださる、という出来事があった。訪れた先々で出会った人々は皆、親切で優しく、ヒト・モノ・マチがつながりあって、訪れる人を魅了させてくれる。皆でモノづくりをする文化の波佐見だからこそ、町づくりにも一体感があるのだろう。
暮らす人が生きがいを感じられる町づくり
新しいお店も増え、益々活気づいている波佐見町だが、来場者を劇的に増やしていくことが目標ではない、と小林氏は断言する。
私達は200万人、300万の観光客をこの町に呼び込んで、お金を儲けることを目指しているのではありません。ここに暮らす人達、特に高齢の方々が、死ぬ間際まで、訪れた人々との交流を楽しんで働けるような生きがいを提供し、その交流が、町の活気につながることを目指しています。
国がインバウンド施策を強化する一方で、オーバーツーリズムが課題視されている昨今。観光客の急激な増加を目指し数だけを追うのではなく、住む人々の心の豊かさの実現を重視して、町の歴史や遺産を活かしながら、新しい試みに挑戦し続ける波佐見町の姿は、これからの日本のあるべき地域創生の在り方でもあり、世界的にも時代の先端をゆく取り組みのように思えた。
【波佐見④】この町だから体験できることを満喫する
長崎県のほぼ中央、東彼杵郡北部の内陸部に位置し、長崎県内で海に面していない唯一の町。400年の伝統をもつ全国屈指の「やきものの町」として栄えてきた。日本国内の一般家庭で使われている日用食器の約13%は波佐見町で生産されたものと言われている。町内には陶磁器に関する約400の事業所があり、町内の約2,000人が窯業関係の仕事にたずさわっている。
https://ps-q.jp/tourism/hasami-town/