約400年の歴史のある波佐見焼。
江戸時代から大衆向けの食器の大量生産が盛んであり、現代でも日常食器に用いられることが多い。
その波佐見焼の工房の一つ、藍染窯の樋渡氏にお話を伺った。
見て触ることで一つ一つの良さを知ってほしい
「波佐見焼は制約がなく、異業種とものづくりができることが面白さ。」と言う樋渡氏は、昔から何かを作るのが好きで、いずれ自分も窯を継ぐと思っていたそうだ。
波佐見焼は同じ型のものを大量に作ることができるのが特徴の一つであるが、100個同じものをつくるのではなく、一つひとつ、触ってもらうことで良さを知ってほしいと考え、新しいことにも挑戦をしている。
また波佐見焼の工房の傾向として、他の工房との連携が多いそうだ。
競合になるのではなく、困ったときはお互いに助け合うという点でも、産地として一体感が強いと感じられる。特徴的な技術があまりないと語られるが、それが時に助け合いにつながり、似ているからこそ各々の工房が個性を出していこうとする。
そのような地域の雰囲気もまた波佐見焼の特徴のひとつと言えるだろう。
作り手として生活シーンやそれに応じた使いやすさを考えるが、ライフスタイルとトレンドの間をいかにうまく捉えるか、ということを意識しているという。
商社を通じた販売が一般的な商習慣となっているが、商社を活用する利点がある一方で、売りやすい「わかりやすいもの」が求められると語る。
そればかりになることに危機感を感じている樋渡氏は、オリジナルの制作にも力を入れていきたいそうだ。
既にアパレルをバックグラウンドにものづくりをしているミンゲイプロジェクトブランド『TALKY』に技術協力し、スケートボード型のユニークな箸置きを生産している藍染窯。
そのようなOEMだけでなく、自分たちでコンセプトから製品を作り上げていきたいと樋渡氏は話してくれた。
例えば、オーダーメイドで型を作り、個人の要望にも応えられるようにするなども考えているようだ。それは手間がかかることだが、これまでにない新しい取り組みであるため、欲しいという人も多いだろう。
「作る人も買う人も楽しいほうが良い。」
その一言に伝統を守りつつ新しいものづくりに挑戦する気概が込められていた。
波佐見焼を通して、関わる人すベての衣食住を豊かに。
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