「サステナブル」であることの関心が高まるなか、利便性や価格だけでモノを選ぶのではなく、その品物を選ぶことが暮らしに充足感を与えるとともに、環境や社会にも好影響を与えるものであるか、ということが選択肢の一つになってきている。
消費社会の現代、暮らしを彩る日用品から、美しさに目を奪われる芸術のような工芸品まで様々なモノが、ここ日本でもつくられている。
JAPAN MADEは各地の伝統工芸を中心とする日本のモノづくりを伝えてきた。そのなかで見えてきたのは、「良いものを二世代・三世代とより長く使う」「壊れても捨てずに手を加えて使い続ける」といった日本人が元来大切にしてきた精神性。そこには「モノには魂が宿る」と考える八百万の神に関する宗教観が影響しているのかもしれない。
無自覚の営みがサステナブルにつながる
例えば大量生産でつくられた器でも、欠ければ金継ぎして使い続ける。捨てられる素材を活用して新しい産業につなげる。『アップサイクル』という言葉がうまれる前から、私たちの文化は、モノを慈しみ、ときにあえて手間かけることで、今あるモノを大切にして、暮らしを豊かにしてきた。
『温故知新』
この言葉に表されるように、これからの社会に必要なサステナブルな暮らし方というのは「新しい方法を知り、それに慣れていく」という方法だけでなく、私たちにとって身近で当たり前だと思っていたことを再び、現代のライフスタイルに適合させていくことで無理なく実現できるのではないだろうか。
JAPAN MADEでは、そんな古くから受け継いできた日本人の精神性が反映されている日本のモノづくりと、「循環型社会において私たちは何ができるのか」。今の時代だからこそ求められるモノづくりのあり方、使い手のモノとの向き合い方、暮らし方について、つくり手である職人の話を交えながら紹介していく。