愛知県瀬戸市。
その街中を抜けると、伝統的な窯元が軒を連ねる赤津地区がある。
三つの山に囲まれ、良質な陶土に恵まれたこの地で六代続く三峰園窯では、
受け継がれてきた技法と工程を大切に、すべての器を手づくりしている。
瀬戸は昔から白くて硬く丈夫な粘土が採れるため、焼き物の土地として栄えた。
六古窯の一つであり、釉薬をかけた焼き物を最も早く作った産地として知られている。
焼物の総称である「せともの」が六古窯の瀬戸焼に由来していることからも、
その歴史の長さを知ることができるのではないだろうか。
陶器と磁器の両方を扱う産地は全国的にも珍しく、様々な焼き物やモノづくりが成り立っている。
生活に寄り添う、新たなカタチ
「僕の代からは料理に使えるものを作りたいと思った」と語るのは、三峰園窯六代目の加藤さん。
できるだけシンプルで色んな料理に合うものをと、
織部や黄瀬戸・黒織部など、瀬戸を代表する釉薬を使いながら製作している。
使う人からの「買った器でご飯を食べたらすごく美味しかった」などという声に、
「器で、使う人に笑顔を届ける助けがしたい」と思ったそう。
器を使う人の中には、食べる人、それを使い料理を提供する人がいる。
様々な人の日常に寄り添い、楽しめる器を作ろうと試行錯誤を重ねているのだ。
環境を整えるために、今あるものを生かすこと
自らの技術や瀬戸の産地の力を生かすこと。
手に持つものはできるだけ軽く、置いて使うものは安定感を保つようにと、細部へのこだわりが光る。
また、自然本来のものをできるだけ使おうとする姿勢から、
我々人間が自然とともに生きていること、
全ての繋がりの中で循環し、生かされているということに改めて気付かされる。
加藤さんは、魅力的な焼き物作りの環境を維持するため、
同じ産地の仲間と協力しながら、次世代に向けて環境を整えていきたいとも語る。
“持続可能とは、未来に向かって続けられること”
次世代が動きやすい環境をつくる。
それは、モノづくりが時代を超えて輝き続けるために重要なカギとなるだろう。
地域の特性を生かし産業を持続させることはもちろん、
様々な産地で行われる持続可能な環境づくりを続けたいという姿勢を
JAPAN MADEとしても応援していきたい。