繊細優美の手仕事
長崎県佐世保市三川内町で400年以上続く三川内焼。
三川内は、磁器の原料として有名な天草陶石を一番初めに焼きこなした産地として知られている。
元々は平戸藩の御用窯として献上し続けていた産地であることから、
その“繊細優美”と表現される三川内焼の原点を今に伝え続けている。
特徴的なのは、白い磁器を生かした藍色の染付。
焼くと青く発色する呉須(ごす)という顔料を筆に含ませ濃淡をつけることで、
特有の立体感や遠近のある絵柄を表現することができる。
絵付けの部分や、ものによっては1ミリ未満の薄い焼物など、
透かし彫りや置き上げなどの技法を使った細工物が特徴。
三川内焼は、工程の中でも削りの作業に重きを置く。
型でとった後、手でしっかりと削りを入れ込み、仕上げていく。
1ミリほどの薄いものもあるため、
少しの引っかりや口元を強く持つだけでも割れてしまうほど繊細。
釉薬も3回に分けないとかからないため、全てにおいて手間をかけている。
ここにしかない技術を、次世代へ
三川内は、その昔お殿様から秘宝を得て技術を尽くしていた産地。
三川内にしかできない技術が、特に昔は多かった。
「技術が疲弊しないよう、様々な工夫を重ねながら生き残ってきた」
と語るのは、嘉泉窯で三川内焼を作る、金氏さん。
現在は家で楽しめる焼き物を目指し、
「色彩の多い、食事を楽しめる焼物」というイメージで制作を続けている。
見た目の美しさはもちろん、使ってこそ分かる焼き物本来の良さや産地の良さ。
手に持った時にわかる、細部にまで宿る細やかな気遣い。
時代を超えて受け継がれてきたものから溢れる魅力が、そこにはある。
取材先